辻川牧子のホームページ

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今月の一冊

今月の一冊子どもの頃から本が好きで、暇さえあれば読んできました。
毎月一冊、これまでの読書の中で印象に残った本をご紹介させていただきます。


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2021年の本一覧
『 雪あかり ~ひとすじの小道~ 』 佐藤 じょうりん 著

雪あかり ~ひとすじの小道~

「雪あかり」という美しい表題に誘われて、頁を開いた。清冽な渓流のせせらぎを思わせる文章が、流れ始めた。
ひたむきの道心、流れの底に見えてくる。こんな奇跡の物語が現代にあり得たとは!
その驚きは、今もやまない…と日独文化研究所所長で哲学者の大橋良介氏の言葉が本の帯に書かれています。

美しい澄んだ文章と、その行間からあふれる、尼僧じょうりんさん(漢字がパソコンでアップできなくて、すみません)の清らかで、ひたむきな思いが読み手の胸に響きます。全国を托鉢して廻られるそのお姿に、今時、こんな宗教者がおられたのかと驚き、感動しました。お釈迦様の教えも静かに伝わります。

生き方を見直したい方におすすめします。心というか、魂が洗われる一冊です。

※書店やアマゾン等では、販売されておりませんので、ご希望の方はお手数ですが当ホームページのお問い合わせ欄より、ご連絡をお願いいたします。

2021年9月 パパラギ出版所 ハードカバー製本 1,650円/ソフトカバー製本 1,100円

『 子どもの心はどう育つのか 』 佐々木 正美 著

子どもの心はどう育つのか

その子らしさを愛してあげて――誰よりも、子どもに寄り添った名医が、「生きづらさ」の本質を語った。親、保育者、子どもを見守る大人たちにどうしても伝えたかったこと…と内容紹介されています。

「子どもは、0~2歳は信頼、2~4歳は自律、4~7歳は積極性など、その年齢に適した発達課題がある。その課題を果たせないと、心が未熟で、ひきこもりやうつなどの原因になることもある。子どもの心の成長を正しく理解すること、そして、大人になっても、未成熟である部分を自覚することが人間として豊かに生きることにつながる」と穏やかな文章で、わかりやすく書かれています。

エリクソンのライフスタイル論をもとに、発達・成熟段階の考え方を佐々木先生が展開されたもので、親御さんはもちろん、生きづらさを感じる大人の方々にもお薦めの一冊です。

2019年10月 ポプラ新書 946円

『 微生物から宇宙を考える いま、意識改革のとき 』 平井 孝志 著

微生物から宇宙を考える いま、意識改革のとき

微生物研究者として、大地や河川の浄化に取り組み、数々の成果を上げてこられた 平井孝志先生の宇宙観、環境観、生き方・考え方が、ほんわかしたイラストとともに 綴られています。

第1章 私がなぜ微生物学者になったのか
第2章 職業は、地球の医者
第3章 環境再生に必要な「生命の系」
第4章 微生物の果たす役割
第5章 土こそ「いのち」の源
第6章 「いのちの水」はミネラルの海
第7章 ミネラルと環境
第8章 実例集「地球がなさることをまねる」
第9章 宇宙意識と生命
第10章 「微生物様」と本気でつきあうために

長年、微生物とともに歩まれ、実際に環境再生の道を切り開いてこられた平井先生の「地球様のなさらんことはしなさんな」、「微生物は神様です」、「後始末のテクノロジー」、「地球時間を忘れない」等々の言葉に、はっとしました。読み進むにつれて、小さな微生物を通して、宇宙まで繋がる「いのちのつながり」の大きさに圧倒され、同時に謙虚に自然から学び、暮らしていくことの大切さを知ることができました。

1999年に書かれた原稿をもとにされていますが、今こそ、必要なことがたくさん書かれていると思いました。生きとし生けるものすべての現在と未来のために、大事にしたい一冊です。

この本はあえて一般流通のルートではなく、必要な部数だけを印刷して届ける方式で出版社の風来舎さんとEco-Branchの鶴田ご夫妻が力を合わせて出版されました。売り上げは必要経費をまかなったのち、増刷や環境基金として環境活動支援に充てられます。未来の子どもたちに、豊かな地球が手渡せますよう、手から手へ、人から人へ、願いが、本が、繋がり、広がってゆきますようにという思いから“地球の笑顔プロジェクト”の名前のもとに誕生しました。

ご購入希望の方は、お手数ですが、このホームページのお問い合わせ欄より、ご一報くださいませ。 どうぞよろしくお願いいたします。

2021年8月 Eco-Branch 2,000円

『 しあわせる力 禅的幸福論 』 玄侑 宗久 著

しあわせる力 禅的幸福論

しあわせは人と人との係り合いから生まれる。むすんだ心をひらけば息苦しい世の中も生きていける。しあわせになるヒント満載…と紹介されていました。

物質的な豊さや成功といった西欧的な幸福ではない、本来の日本人の「しあわせ」が何からもたらされていたかが、わかりやすく書かれた本で、日本の仏教の歴史も親切に解説されています。

出版は2010年ですが、今はさらに、この本が伝える「しあわせ」に生きるために役立つヒント、固くなった心をほぐす知恵が、必要になっているような気がします。読み返すたびに、はっとしたり、ほっとしたりしています。

かわいいイラスト入りの読みやすい本ですが、内容は深く、どなたにもお薦めしたい一冊です。現在、新品はありませんので、kindle版か、図書館や古書店をご利用ください。

2010年1月 角川SSC新書 Kindle版 625円

『 コロナの暗号 人間はどこまで生存可能か? 』 村上 和雄 著

コロナの暗号 人間はどこまで生存可能か?

謙虚でつつしみ深い態度があれば、科学と技術は人間の心の成長に見合った形で適正に進歩し、持続可能な共存社会をつくるために役立つはずです。十分に持っていても、二割つつしんで、八割だけ使うという思想です。つつしむ力こそが新型コロナが暗示するメッセージであり、異常気象や大災害、新たな感染症など、地球の危機状況から私たちが読み取るべき重要な教訓なのです…と帯に書かれていました。

この4月に亡くなられた生命科学者の村上和雄先生のご遺作です。文明の転換期に警笛を鳴らす小舟の一つとなることを目指した解説書と内容紹介されていました。二十一世紀は、「感謝」と「助け合い」と「つつしみ」が求められる時代になるとおっしゃる村上先生が分かりやすく、これからの私たちが進むべき道を示してくださっています。

読み進むにつれ、勇気が湧いてくる一冊です。

2021年7月 幻冬舎 1,500円+税

『 まいにちがプレゼント 』 いもと ようこ 著

まいにちがプレゼント

プレゼントってきくとおくりものをおもいうかべるでしょう?でもプレゼントにはべつのいみもあるのです…と内容紹介されている絵本です。

「いもとようこの大人に効く絵本」シリーズの中の一作。プレゼントしていただいて、気持ちが、じんわり温かくなりました。
以前から、いもとさんの絵が好きでしたが、この本に出合えて、ますますファンになりました。

小さなお子さんにも、昔、お子さんだったオジサンやオバサンにもお薦めしたい一冊です。

2018年9月  金の星社 1,540円

『 ぞうきん1枚で人生が輝くそうじ力 』 船越 耕太 著

ぞうきん1枚で人生が輝くそうじ力

ぞうきん1枚で、とある企業の売り上げを150%にした話題の男。仕事、家庭、人間関係、すべてがうまく回り出す!ポイントは、「誰もやりたがらない場所」を、「誰も見ていないとき」に、「誰もやらない方法」で磨くこと…と内容紹介されています。

図書館で何気なく手にして、借りた本です。道具や洗剤をたくさん使わないシンプルな掃除の仕方が知りたくて読み始めたところ、びっくりしました。もちろん、最後の方で掃除法が場所別に丁寧に紹介されていますが、この本には“生き方”そのものを動かす力があるようです。一気に読み、何度も読み返したいので購入しました。

心のブロックを外し、潜在意識を変えて、それぞれの人が、その人らしく生きやすくなる力が掃除にはあるとか。読み終えて直ぐに、浴室の排水口を掃除しました。(^^;ちょっと、掃除が楽しみになってきました。

こういう本が苦手な方もいらっしゃるかと思います。どなたにもというわけではありませんが、暮らし方を変えたい、自分を変えたい方にはお薦めの一冊です。

2016年3月 大和書房 1,540円

『 いのちの文化史 』 立川 昭二 著

いのちの文化史

「いのちの大切さ」がいわれる今日、「生命観」も大切であるが、「いのち観」さらには「いのち感」がより大切なのではないだろうか。「いのち」をふかぶかと感じとる感性は、なにより人の生老病死にふれることによって体得される。人の生老病死は「文化」であるから、「いのち」は「文化」として感受することができる。ここでは日本人の生老病死のいくつかの情景にふれ、「いのち」を感受するきっかけとしたい…と著者が紹介しています。

医療史、とくに文化史・心性史の視座から病や老いや死を追究された立川先生が、子どもは「授かりもの」の考え方、江戸人の目ざした「いい老人」、武士の介護休暇「看病断」や、江戸時代にあった、地域の人々が支え合う健康保険の原型のような「定礼医」、一昔前の病人と看護婦の意外なあり方等を、漱石、鴎外、向田邦子、江藤淳などの文章や新聞の歌壇に投稿された和歌なども紹介しながら分かりやすく著しておられます。

かつての日本人の人間味あふれるというか、温かくも悲しく、深みのある「いのち」感が伝わってくるお薦めの一冊です。残念ながら絶版になっていますので、図書館か古書店をご利用ください。

2000年2月 新潮選書 1,200円

『 天、共に在り アフガニスタン30年の闘い 』 中村 哲 著

天、共に在り アフガニスタン30年の闘い

困っている人がいたら手を差し伸べる――それは普通のことです。

1984年よりパキスタン、アフガニスタンで支援活動を続ける医師・中村哲。治療のために現地へ赴いた日本人の医者が、なぜ1600本もの井戸を掘り、25.5キロにもおよぶ用水路を拓くに至ったのか?「天」(自然)と「縁」(人間)をキーワードに、その数奇な半生をつづった著者初の自伝…と紹介されています。

惜しくも、2019年12月にアフガニスタンで亡くなられた中村先生の著書です。

“はじめに” に書かれていた

「様々な人や出来事との出会い、そしてそれに自分がどう応えるかで、行く末が定められてゆきます。私たち個人のどんな小さな出来事も、時と場所を超えて縦横無尽、有機的に結ばれています。そして、そこに人の意志を超えた神聖なものを感ぜざるを得ません。この広大な縁(えにし)の世界で、誰であっても、無意味な生命や人生は、決してありません。私たちに分からないだけです。この事実が知って欲しいことの一つです。

現地三十年の体験を通して言えることは、私たちが己の分限を知り、誠実である限り、天の恵みと人のまごころは信頼に足るということです。

人の陥りやすい人為の世界観を超え、人に与えられた共通の恵みを嗅ぎとり、この不安と暴力が支配する世界で、本当に私たちに必要なものは何か、不要なものは何かを知り、確かなものに近づく縁(よすが)にしていただければ、これに過ぎる喜びはありません」

という文章が強く印象に残っています。

第一部から、第四部まで、どのページも読み応えがありましたが、“終章 日本の人々へ”にあった

「人も自然の一部である。それは人間内部にあって生命の営みを律する厳然たる摂理であり、恵みである。科学や経済、医学や農業、あらゆる人の営みが、自然と人、人と人の和解を探る以外、我々が生き延びる道はないであろう。それがまっとうな文明だと信じている。その声は今小さくとも、やがて現在が裁かれ、大きな潮流とならざるを得ないだろう。

これが、三十年間の現地活動を通して得た平凡な結論とメッセージである」

という文章も忘れることができません。

現地の暮らしの厳しさや、日本で報道されたアフガンの戦争と現実の姿の違いに衝撃を受けました。戦争と平和、人を信頼するということ、自然との共存など、中村先生が遺してくださったメッセージに圧倒されました。私たちの現在と未来を考える時、是非、手に取りたい大事な一冊です。

2013年10月 NHK出版 1,760円

『 教科書には書かれていない江戸時代 』 山本 博文 著

教科書には書かれていない江戸時代

武士はなぜ腹を切るのか?赤穂浪士の討入りは主君のためだけではない!参勤交代は超高速が当たり前?薬の値段はどれくらい?学問は個人の出世のためではなかった!ドラマや小説ではわからない江戸時代の真相!…と内容紹介されています。

江戸時代の武士と町人たちの実像を、当時の文書(もんじょ)から蘇らせ、人々が幕藩体制という社会制度のもと、どのように暮らし、どのような課題を抱えていたかを、昨年惜しくも逝去された山本博文先生が、長年の研究に基づいて、わかりやすく著された本です。様々なドラマや小説などで描かれる江戸時代像と真相のずれを指摘し、その背景にあった事柄が解説されています。

『江戸お留守居役の日記』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞されておられた山本先生の味わい深く、読みやすい文章も印象に残りました。江戸時代の素顔を楽しく学ぶことができるお薦めの一冊です。

2018年8月 東京書籍 1,540円

『 江戸暦 江戸暮らし 』 木村 吉隆 聞き書き:藤井恵子 写真:鈴木俊介

江戸暦 江戸暮らし

「江戸の縁起物」好評第2弾! 浅草仲見世助六のおもちゃで見せる、江戸の年中行事。 あなたも江戸の町へタイムスリップしてみよう! 浅草寺の表参道、仲見世通りで江戸末期、慶応2年(1866年)に創業した江戸趣味小玩具の店「助六」。 助六の風俗人形に屋台のおもちゃは、江戸の風俗をそのまま伝える、生きたジオラマ資料だ。 七福神めぐり、お花見、三社祭り、芝居見物、相撲に落語。 どこからか棒振りや角付け芸人の声が聞こえる。 本書はその玩具を写真とともに紹介。 全点英訳付き…と内容紹介されています。

以前、ご紹介した『江戸の縁起物』の第2弾。江戸の町の四季が、助六さんのかわいいおもちゃの写真と、五代目のご主人の粋な語り口で紹介されています。ページを開くと江戸の風が吹き、楽し気な笑い声や鳥のさえずりも聞こえてきそうな感じがします。最後の章の「助六職人噺」も、またよくて、この本がとても好きです。

読むというか、眺めるだけでも、ほっこりするお薦めの一冊です。

2013年12月 亜紀書房 2,530円

『 人生で起きること すべて良きこと:逆境を越える「こころの技法」 』 田坂 広志 著

人生で起きること すべて良きこと: 逆境を越える「こころの技法」

人生において苦労や困難、失敗や敗北、挫折や喪失といった「逆境」に直面したとき、我々は気が動転して、逆境を乗り越える、そのことよりも、「なぜ、こんなことに…」といった過去への後悔、「これから、どうなってしまうのだろう…」といった未来の不安に、心のエネルギーの大半を使ってしまうことがある。

しかし、その出来事が起こった「意味」に耳をすませ、「人生で起こること、すべて良きこと」との思いを定めると、逆境に正対する力が湧き、道は必ず、拓ける。そして、自分の人生にとって大切な何かを学ぶことができる――著者は自身の逆境体験を振り返って、言う。

本書では、「生死の境の体験」をはじめ実体験から掴んだ、「逆境を越える『こころの技法』」を、著者が質問者との対話の中で、ていねいに語る。そして、人生の岐路において気づきを得る「50の言葉」を示す。最も肯定的な「逆境観」と「解釈力」、そして「生命力」を掴む一冊…と内容紹介されています。

心穏やかに生きる「技法」が一つ一つ、説明されています。「人生で起きること すべて良きこと」というタイトルだけでも、何か目が開かれる感じがしました。生き方を見直す機会をくれるお薦めの一冊です。

2015年7月 PHP研究所 Kindle 版 1,000円