子どもの頃から本が好きで、暇さえあれば読んできました。
毎月一冊、これまでの読書の中で印象に残った本をご紹介させていただきます。
- 2020年12月 『 失われゆく日本 黒船時代の技法で撮る 』 エバレット ケネディ ブラウン 著・写真
- 2020年11月 『 禅の知恵に学ぶ 』 山川 宗玄(他) 著
- 2020年10月 『 買い物は投票なんだ EARTHおじさんが教えてくれたこと 』 ほう 絵 藤原ひろぶみ 文
- 2020年 9月 『 治したくない―ひがし町診療所の日々 』 斉藤 道雄 著
- 2020年 8月 『 和食のこころ 』 村田 吉弘 著
- 2020年 7月 『 アーカイブス ナショナルジオグラフィックが見た 日本の100年 』
ナショナルジオグラフィック 編 - 2020年 6月 『 松下幸之助 人生をひらく言葉 』 谷口 全平 著
- 2020年 5月 『 空気を読む脳 』 中野 信子 著
- 2020年 4月 『 先祖の話 』 柳田 国男 著
- 2020年 3月 『 運気を磨く 心を浄化する三つの技法 』 田坂 広志 著
- 2020年 2月 『 老舗に学ぶ 京の衣食住 』 西岡 正子 編
- 2020年 1月 『 Think CIVILITY「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である 』
クリスティーン・ポラス著 夏目 大 訳
『 失われゆく日本 黒船時代の技法で撮る 』 エバレット ケネディ ブラウン 著・写真
世界的に貴重な湿板光画と新しい日本論
黒船ペリー提督随行カマラマンの一族である著者(エバレット・ケネディ・ブラウン)は、現代のフェノロサである。88年から日本に移住。EPA通信社の日本支局長として活躍後、幕末時代の写真技法である湿板光画で「時を超えた日本」の記録に取り組んでいる。神道、芸術、匠、公家、山伏、縄文など、日本の精神性の本質を見抜き、美しい湿板光画(幕末時代の写真技法)と文章で見事にまとめている。明治維新150周年の今、縄文時代から脈々と続く日本の素晴らしい「精神性」と「身体感覚」を現代の日本人に伝える…と内容紹介されています。
在日30年の著者が深い愛情と鋭い感性で捉えた「日本」が、湿版光画の写真と静かな温かみのある文章で浮かび上がります。何度見ても、何度読んでも、ハッとさせられる本。
どなたにもお薦めしたい素晴らしい一冊です。
2018年8月 小学館 1,650円
『 禅の知恵に学ぶ 』 山川 宗玄(他) 著
禅が分かれば、ブッダの悟りが見えてくる
世界的な大ブームが続く「禅」。禅は人生をどのように捉えるのか? 禅僧はどんな修行をしているのか? そこから私たちが学ぶべき「いのちの知恵」を高僧が語る。意外に知らない禅の世界、その扉をひらく入門書。巻末には特別付録「5分坐禅」「写経入門(書:石飛博光)」付き…と内容紹介されています。
NHKの「こころの時代」宗教・人生のテキストとして出版されました。シリーズで放送された内容がとても良かったので、購入しました。番組のテキストとしてだけではなく、そのまま単独の本としても、禅について知る、よい手掛かりになると思います。付録も分かりやすく、無理なく坐禅が続けられます。
第1回 禅とは何か
第2回 生きることのすべてが修行
第3回 一寸坐れば一寸の仏 坐禅
第4回 それと一つになる 作務・勤行
第5回 いのちをいただく 典座・托鉢
第6回 生かされて生きる
特別付録1「五分坐禅」の坐り方
2写経『菩薩願行文』
禅の教えを日常の生活に取り入れるための道しるべになる一冊です。読んでいて気持ちが、落ち着きました。書店にない場合は、直接NHK出版のホームページから入手できます。
2019年3月 NHK出版 1,012円
『 買い物は投票なんだ EARTHおじさんが教えてくれたこと 』
ほう 絵 藤原ひろぶみ 文
お母さん、お父さんへ。子どもたちの未来を少しだけよくするために、今すぐできることを、EARTHおじさんがナビゲートします―と内容紹介されている、メッセージイラストブックです。
毎日の買いものは社会とつながっている!「買える」を「変える」を提案する絵本です。知っているつもりでいたこと、見ないようにしていたことを改めて考えるきっかけになりました。どうしたら、地球の環境がよくなり、子どもたちに少しでも明るい未来を手渡せるか…ホンワカとしたかわいいイラストと、わかりやすい文章で描かれています。
いろいろなご意見があるでしょうが、まず、大人の皆さまにお薦めしたい一冊です。
2018年10月 フォレスト出版 1,320円
『 治したくない―ひがし町診療所の日々 』 斉藤 道雄 著
北海道、浦河。そこに、精神障害やアルコール依存をかかえる人びとのための小さなクリニックがある。
開設から6年。「ひがし町診療所」がそれまでの精神科の常識をことごとく覆しながら踏み分けてきたのは、薬を使って症状を抑えるといった「いわゆる治すこと」とは別の、まったく新しい道だった。医療者が患者の上に立って問題を解決しない。病気の話はしない、かわりに自分の弱さを、問題を、きちんと自分のことばで仲間に伝えること。医師や看護師が能力を最大限発揮しない、それによって人が動き出し、場をつくり、その場の空気が、やがて本当の意味での力となってゆく。
障害のある人びとを、精神科病棟のベッドから、医師や看護師のコントロール下から、地域の中に戻すこと。グループホームで生活し、病気の苦労、暮らしの苦労を自分たちの手に取り戻すこと。そのことが、患者の側だけでなく、健常者を、町全体を、そして精神科医療そのものも変えてゆく……北海道、浦河。べてるの家のその先へ―と内容紹介されています。
笑いと温かさと優しさと、力まない、しなやかな強さが随所にあふれています。人と人との在り方の原点を教えていただいたような気がします。
障害があるなしにかかわらず、すべての方々にお薦めしたい一冊です。
2020年5月 みすず書房 2,420円
『 和食のこころ 』 村田 吉弘 著
家庭画報、2016年~17年の人気連載を基にした本書は、歴史、花鳥風月といった美意識、行事も含めた「和食文化」を伝えるユニークなエッセイ集。美しい料理写真も多数掲載され、レシピも付いています。著者は京都の料亭・菊乃井主人、村田吉弘氏。幅広いファンを持つ大人気の料理人です。2013年「和食・日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。村田氏はその推進に力を注いだ一人でもあります。軽妙な語り口、わかりやすい解説でこの一冊で和食文化のおもしろさ、奥深さそしてすべてがわかります。レシピつき。― と内容紹介されています。
テレビや雑誌でお馴染みの老舗料亭の主で、自ら厨房に立って陣頭指揮を執る傍ら、日本料理界の発展、後進の育成に尽力されておられる村田吉弘氏の著書です。飾らない気さくなお人柄そのままの語り口で、和食の奥深さ、それを生み出した先人たちの知恵や心意気までが伝えられています。京都の昔ながら素敵な暮らしにも、少し触れることができました。
レシピも、きれいな写真もついて読みやすいだけでなく、研究熱心な氏の本だけに、内容も確かです。どなたにもお薦めしたい “美味しい” 一冊です。
2018年10月 世界文化社 1,980円
『 アーカイブス ナショナルジオグラフィックが見た 日本の100年 』
ナショナルジオグラフィック 編
今よりもっと、私たちの国が明るい希望に燃えていた時代、戦争や恐慌、大地震など不幸に見舞われても、国民が皆、今日より明るい明日を確信できた時代…、「ナショナルジオグラフィック」誌が、この1世紀余りの間、写真と記事で世界に紹介してきたニッポンの素顔は、歴史の波にもまれながらも、ひたむきに歩んできた私たち日本人自身の記録だ。本書は、記憶の彼方に消えかかった、明治期から平成にかけての、私たち日本人のたくましい足跡を、外国人の視点から改めてよみがえらせてくれる。― と内容紹介されています。
アメリカ合衆国に本部を置く世界有数の非営利の科学・教育団体であるナショナルジオグラフィック協会が発行する『ナショナルジオグラフィック』に、過去100年の間に掲載された日本に関する記事を集めた写真集。世界の舞台に躍り出た“若い国”明治の日本から、大正、昭和、そしてバブルに沸く平成(1991年)までの日本が外国人の眼を通して伝わってきます。
207ページに、100年分の歴史が詰まった本で、見応えがありました。外出自粛期間中、家にあった本を読み返していた時に改めて「いいなぁ」と思った一冊です。
残念ながら、絶版になっていますので、図書館や古書店をご利用ください。(なお、この本に2012年までの分を加え、再編集した『ショナルジオグラフィックが見た 日本の100年』も出版されています)
2003年12月 日経ナショナルジオグラフィック社 2,420円
『 松下幸之助 人生をひらく言葉 』 谷口 全平 著
松下電器(現:パナソニック)の創業者である松下幸之助は、資金も学問も身寄りもなく、しかも病弱。「徒手空拳」ですらなく、マイナスからの出発であった。にもかかわらず、いかにして成功を収める事ができたのか?本書は波瀾に満ちた94年の生涯で語られた“人生をひらく言葉”を軸に、松下幸之助の信条や経営観、人間としての喜びを解説した。「勝てばよし」がまかり通る今日、「なぜ生きるか」を問う人生の書である。― と内容紹介されています。
著者の谷口全平氏は、出版当時、PHP 総合研究所の顧問。松下幸之助氏の近くで長年活躍された方です。「夢」「勇気」「素直」「縁」「感謝」について松下氏が語られた言葉が、わかりやすい文章で綴られています。
何度でも、読みたくなる、心にしみる一冊です。
残念ながら、絶版になっていますので、Kindle版、図書館や古書店をご利用ください。
2006年8月 PHP研究所 Kindle版 590円
『 空気を読む脳 』 中野 信子 著
“なぜ、相手や周りの気持ちがわかりすぎる人ほど生きづらいの?”日本人の脳の「強み」を知る!不自由さを突き抜ける処方箋 ― と内容紹介されています。
テレビ番組でおなじみの中野信子氏の著書で、下記の構成になっています。
第1章 犯人は脳の中にいる ~空気が人生に与える影響とは?
第2章 容姿や性へのペナルティ ~呪いに縛られない生き方
第3章「褒める」は危険 ~日本人の才能を伸ばす方法とは?
第4章「幸福度が低い」わけがある~脳の多様すぎる生存戦略
脳科学の視点から、不安を感じやすい日本人の脳について、わかりやすく書かれています。不自由さを突き抜ける処方箋となるかは、人それぞれだと思いますが、ハッとする箇所はいくつもありました。第3章(「褒める」は危険)が、印象に残っています。
お父さんやお母さんをはじめとする、「人を育てる」立場にある方々に、特におすすめの一冊です。
2020年2月 講談社+α新書 946円 Kindle版 880円(税込み)
『 先祖の話 』 柳田 国男 著
人は死しても霊は遠くへ行かず、故郷の山々から子孫を見守り、正月や盆には「家」に帰ってくる―。古くから日本人に通底している死後の観念や先祖への信仰と、「家」のあり方を明らかにする。東京大空襲で多くの死に向き合うなか記された、柳田の祖先観の到達点… と紹介されています。
日本民俗学の祖とも呼ばれる柳田國男が昭和20年4月から5月にかけて執筆した本。
戦争の後に生きる人々に向けて書かれた、渾身の作品です。私たちの先祖がどのような思いをもって生きてきたかを知ることができます。
戦後75年になろうとする今、「家」のあり方も、社会の仕組みも大きく変わりました。それでも、これからの生き方を考える時に、参考になるような気がします。
日本について知りたい方におすすめの一冊です。
2013年6月 角川ソフィア文庫 640円+税
『 運気を磨く 心を浄化する三つの技法 』 田坂 広志 著
神や仏の正体は、「量子真空」なのか。筆者は、大学の工学部で長く研究者の道を歩み、科学的教育を受けた人間である。それゆえ、基本的には唯物論的な世界観によって研究に取り組んできた人間である。ただ、一方で、筆者は、これまでの六八年の人生において、「運気」と呼ばざるを得ない出来事を数多く体験しており、それゆえ、この「運気」と呼ばれるものの存在を決して否定できないと感じている。従って、自身の科学研究者としての立場から、この「運気」というものの科学的根拠が存在するならば、それを明らかにしたいと考えており、本書においては、そうした視点からの「科学的仮説」についても紹介している。その一つが、「量子真空」と「ゼロ・ポイント・フィールド」の仮説である…と内容紹介されています。
いつもお世話になっている読書家の方から教えていただいた本です。引き寄せの法則を扱った書籍は数多くありますが、その中でも「究極」といってもよいかもしれません。何かに悩んだ時、特にお薦めの一冊です。
2019年10月 光文社新書 820円+税
『 老舗に学ぶ 京の衣食住 』 西岡 正子 編
老舗の技と伝統から奥深い「京都」を読み解く珠玉の一冊。京都に百年以上続く老舗の、商品に秘められた技はもとより、生活のなかに息づく知恵や経営哲学などを紹介する…と表紙の帯に書かれています。
京都の佛教大学四条センターで3年3カ月間に亘って開講された「老舗に学ぶ 京の衣食住」全38講座のうち、衣食住のバランス等を考慮して選出された16講座の講演内容が編集された本。それぞれの老舗の主の、商いや日々の暮らしの中で受け継がれてきた話が分かりやすく書かれています。
京都のことや、商売のことばかりでなく、知っているようで知らなかった日本の伝統について知ることができる貴重なお薦めの一冊です。残念ながら絶版になっていますので、図書館か古書店でお探しください。
2013年3月 思文閣出版 1900円+税
『 Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である 』
クリスティーン・ポラス 著 夏目 大 訳
一流のエリートほど、なぜ、不機嫌にならないのか? ビジネスに効く!人間関係も良くなる!社内「処世術」の秘訣、礼節メールの極意、危険人物の見抜き方、怒りを鎮めるコツ―「職場の無礼さ」の研究、20年の集大成! 全米で話題「礼節の科学」、日本初上陸!…と内容紹介されています。
MBAで「職場の無礼さ」を長年研究する著者が、ビジネスでも、人間関係でも、最強の武器になる礼節について解説しています。道徳や倫理観で説かれがちな「礼節」が持つ、実際の力が具体的に分かりやすく説明されています。
ビジネス書としてだけでなく、良好な人間関係を望む、誰にも大きなヒントを与えてくれるお薦めの一冊です。
2019年7月 東洋経済新報社 1600円+税
『 限りなくシンプルに、豊かに暮らす 』 枡野 俊明 著
私のところに「禅の庭」のデザインをしてほしいという依頼が次々と舞い込んできます。依頼者はいわゆるセレブと称される人たちです。できあがった「禅の庭」を見て、彼らは心から感嘆の声を出します。「何と落ち着く風景なのだろう」と。すべてのものを手に入れた彼らが行き着いた先とは、「何もないことの心地よさ」だったのです。
シンプルに生きるということは、すなわち自分にとって大切なものを見極めることだと私は思っています。今の自分にとって、いちばん大切にするべきものは何か。それが浮き上がってきたとき、暮らしも心もシンプルな状態になるのではないでしょうか。
「ほんとうの自分とは何か」ということを、ときに立ち止まって考えてみる。そんな作業を人生の中に取り入れることで、きっと豊かな心が見つかるはずです。
あなたの人生の中に、少しだけ「何もない」心地よさを取り入れてみてください…と内容紹介されています。
曹洞宗の僧侶で、庭園デザイナーとしても活躍しておられる枡野俊明師の本。タイトルと表紙の猫の写真に惹かれて手にしました。中身はシンプルながら奥深く、心に響く言葉があふれています。「いらないものを削ぎ落とし、大切なものを慈しむ」ことに気づかせてくれるお薦めの一冊です。
2015年9月 PHP研究所 1000円+税
『 日々の歳時記 今日という日がわかる。 』 夏生 一暁 著
歳時記は美しい日本の言葉が詰まった宝石箱です。通常は春夏秋冬に分けて編纂されているものですが、本書はそれを1日ごとに分割して編み直しました。今日は何の日? 咲いている花は? 鳥は? 旬の食べ物は? 祭りは? 極めつきの季語や俳句は?――二十四節気・七十二候に対応し、600を超える日本全国の祭り・行事も紹介。毎日にふさわしい季語と名句を「時候」「天文」「地理」「生活」「食物」「行事」「動物」「植物」に8分類して紹介します(「植物」はとくに1日あたり3種収録)。元旦から大晦日まで、今日という日がよくわかる、季節の息吹を伝える万人のための新しい歳時記。句作に、ビジネスに、旅のお供に必携の書。特別付録として「季語ではないが使ってみたい言葉50選」「俳句に使える古語150」などを収録…と内容紹介されています。
1日ごとに書かれていますので、毎日のように開いて読んで楽しんでいます。名句や季語だけでなく、お祭りや各地の行事も取り上げられています。文庫本ですが、1101ぺージ、厚みは4センチ超。俳句好きの方だけでなく、季節や日本語の美しさを感じたい方にはお薦めの一冊です。
2015年8月 PHP文庫 1600円+税
『 感情の「みかた」~つらい感情も、あなたの「味方」になります。 』 堀越 勝 著
幼少時あるいは青春期に経験したつらい思い――誰しも心のどこかに抱えているのではないでしょうか。そのつらい思いの源泉を探っていくと、悲しみ、怒り、憎しみ――さまざまなネガティブな感情に行き当たります。本書は「気持ちを切り替えて前向きに行こう!」とは言いません。そのネガティブな感情にあえて向き合って、その原因となった“人間関係”を明るみに出し、新しい“人間関係”によって癒される。そういう道があることを、著者は語り続けます。どこか自分に不満がある方、少しでも変わりたい方にこそ読んでほしい一冊です…と内容紹介されています。
長年、精神療法についての研鑽を積まれ、多くの人たちの心の治癒に力を尽くされてこられた堀越勝先生の著書。感情に振り回されることなく、無理に抑え込むことなく、向き合い、自分の「見方」を変えることで、マイナスとも思える感情を自分の「味方」にしていく方法が、わかりやすく説明されています。「悲しみをゆっくり味わうことで 私たちは、人にやさしくなれます」など、印象深い言葉が随所にあります。
堀越先生の公開講座に出席し、そのお人柄の温かさに触れ「いいなぁ」と思い、この本を購入しました。手元に置いて繰り返し読んでいます。とても読みやすい、お薦めの一冊です。
2015年6月 いきいき株式会社 1200円+税
『 あふれでたのはやさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室 』 寮 美千子 著
奈良少年刑務所で行われていた、作家・寮美千子の「物語の教室」。絵本を読み、演じる。 詩を作り、声を掛け合う。それだけのことで、凶悪な犯罪を犯し、世間とコミュニケーションを取れなかった少年たちが、身を守るためにつけていた「心の鎧」を脱ぎ始める。「空が青いから白をえらんだのです」が生まれた場所で起こった数々の奇跡を描いた、渾身のノンフィクション…と内容紹介されています。
「とてもいい本なので」と先輩がプレゼントしてくれました。読み始めると、涙がこぼれ、自分の中に大きな偏見や心の壁があることに気がつきました。人間にとって必要なことがこの本には書かれています。コミュニケーションや教育に関する本を何十冊読んでも、なかなかつかめない大切なことが読むとわかります。この本に出合えて本当によかったと思いました。
すべての方々にお薦めしたい だいじなだいじな一冊です。
2018年12月 西日本出版社 1000円+税
『 昭和なくらし方 』 小泉 和子 著
電気に頼らない、捨てない・買わない。始末よく、人を育てるくらし!シンプルでミニマムな毎日の原点を、昭和のくらし博物館長が伝授…と内容紹介されています。
著者である民俗学者の小泉和子先生は、ご実家を「昭和のくらし博物館」として公開されています。生活技術だけでなく、「昭和のくらし」に貫かれていた、物を大事にする精神や、手間を惜しまず創意工夫する力などが伝わり、現在の暮らしを見直すきっかけになりました。
「買わないと賢くなる」(工夫するので)、もっと過激に言うと「買うと馬鹿になる」という言葉が特に印象に残りました。
年配の方々には懐かしい、若い方々には新鮮な?!お薦めの一冊です。
2016年7月 河出書房新社 1600円+税
『 場の思想入門 』 清水博・清水義晴 著
NPO法人「場の研究所」の清水博所長と、まちづくりや企業研修などで数多くの「場づくり」を手掛けてきた清水義晴氏による対談。競争社会から生命調和の時代へ、時代の転換期に日本のもつ「場」の文化が大きな役割を果たすであろうと予感した二人が、自らの体験をもとに「場」と「生命」の在り方を思想として語り合う…と内容紹介されています。
生命科学の分野で長年研究を重ね、生命システム科学の発想から「場」の思想を説かれる清水博先生と、現場で多くの人々とともに「場づくり」を実践してこられた清水義晴先生の対談集です。
一人一人の意識が変わることで、その場が変わる。職場も学校も家庭も、かかわる人たちのかかわり合いの中で、さらに躍動し輝きはじめる。互いの違いを認め、活かしあって共に生きる社会を築くためのヒントが、理論と現場の体験から伝わります。
競争原理から生命原理へ…今日の世界に漂う閉塞感を打ち破る対談集。未来への希望が湧いてくるお薦めの一冊です。
2019年5月 博進堂 1,080円 ※お求めは博進堂Yahoo!店で。
『 日本人の春夏秋冬 季節の行事と祝いごと 』 新谷 尚紀 著
お正月はなぜおめでたいのか―。もっと知りたい、つたえたい、行事のこころ、季節のうつろいを感じて暮らす…と内容紹介されています。
著者である民俗学者の新谷先生は、あとがきに「事実を正確に知ることである。日本の伝統文化を単に美化してあこがれ自慢したり、昭和30年代を美化して懐かしむだけの情報消費では、なんとも心もとなく、なにより危険である。伝統と思われるものにも時代ごとの変遷の歴史があり、昭和30年代にも、現実的にはつらくきたない生活があった。柳田國男も述べているように、過去から現在への生活の変化のあとを正しく知り、その知識をもってできるだけよい未来を築こうとすることが大切である」と書かれています。
以前、年中行事の本を書くにあたり、頼りになったのが、深く研究され、出典が明記されている新谷先生の一連の著作でした。新しい時代を迎え、改めて「日本」を考える時、手にしたい本。単なる知識ではない、この列島で生きた先人の歩みが伝わるお薦めの一冊です。
現在は残念ながら絶版になっているようですので、古書店でお求めください。
2007年12月 小学館 1,900円+税
『 日日是好日「お茶が教えてくれた15のしあわせ」 』 森下 典子 著
「人生のバイブル! 」多くの読者を救ったベストセラー・エッセイ。
毎日がよい日。雨の日は、雨を聴くこと。五感で季節を味わう歓び。今、この時を生きていることの感動を鮮やかに綴る。お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る…と 内容紹介されています。
「会いたいと思ったら、会わなければいけない。好きな人がいたら、好きだと言わなければいけない。花が咲いたら、祝おう。恋をしたら、溺れよう。嬉しかったら、分かち合おう。
幸せな時は、その幸せを抱きしめて、百パーセントかみしめる。それがたぶん、人間にできる、あらんかぎりのことなのだ」(第十一章「別れは必ずやってくる」)と本文にあるように、 茶道だけでなく、生き方そのもののヒントになる文章が随所に見られます。
私事で恐縮ですが、娘時代、お茶の稽古に通っていたことがありました。その後も何度かお茶を習いましたが、日常に追われて、結局遠ざかってしまいました。続けていれば、出会うことができたかもしれない茶道の世界、日本の文化の奥行きを、この本で少し味わうことができました。
静かに一人いたいとき、傍にあると嬉しい、どなたにもお薦めの一冊です。
2008年10月 新潮文庫 550円+税
『 アドラー流 人ともっとHappyになるつき合い方 』 岩井 俊憲 著
「アドラー心理学」カウンセリングの第一人者によるいい人間関係づくりの決定版。
これからどんな関係になりたいのか、どんな気持ちでつき合っていきたいのか、変えられる「未来」を重視するアドラー心理学には、前向きな解決法がたくさんあるのです…と内容が紹介されています。
具体的には、人は「気持ちよく話せる相手」を大事にする、伝える時は「あなたは○○」でなく「私は○○と思う」、感情は横に置いて「事実」を重視、「心の距離」を上手にとるには、「お互いにわかり合う」ことで強い信頼関係に…など、現在の人間関係にうれしい変化を起こすためのヒントがたくさん書かれていました。
昨年から、師事してお世話になっている岩井俊憲先生の数ある著書の中でも、わかりやすい本です。楽しく読める手軽な文庫本ですが、内容は具体的で充実しています。どなたにも、お薦めしたい一冊です。
2018年11月 三笠書房 600円+税
『 宮中歳時記 』 入江 相政 編
「刈り込んだ庭よりも、自然のままがよい」と、おっしゃる陛下のご意向にそって、お住いの吹上御苑は昔の武蔵野さながらの野草や木が生い茂り、東京で最も美しい森となっている。
春は桜。一面のすすき野となる秋。やがてすっかり葉をおとし、木立の間が明るく見通される。シンと静まる雪景色。見事なシモバシラ。野鳥の群れ。
美しい四季の移ろいの中で、自然と伝統を尊重されて、諸行事、ご研究にたずさわる両陛下のご日常を側近の侍従たちが、あますところなく綴る…と紹介されています。
昭和の時代に天皇陛下にお仕えしていた入江相政侍従長をはじめとされる侍従さんたちが分担して執筆された本で、宮中の行事と武蔵野の風情が残る皇居の自然が1月から12月までの各月ごとにまとめられています。
守り続けられている儀式や行事と皇居の四季折々の自然に加え、日常の御姿も伝わってくるお薦めの一冊です。
残念ながら絶版になっていますので、古書店で入手されるか、図書館でご覧ください。
1985年5月 角川文庫 460円
『 季節と暮らす365日 』 日本気象協会・編
美しい日本の四季を楽しむ本。気象の話題を中心に、昔からの日本の行事、草花、衣・食などを楽しむ『暮らしの知恵』がいっぱい。新しい情報に出会い、忘れた記憶に再会します。“きょうのお天気便利帳”…と内容紹介されています。
毎日、ほっこりしたイラストとともにその季節の行事やお天気のことが綴られています。
手元に置いておきたい、かわいい本。季節感を大事にして暮らしたい方々にお薦めの一冊です。
2009年4月 アリス館 1,404円