子どもの頃から本が好きで、暇さえあれば読んできました。
毎月一冊、これまでの読書の中で印象に残った本をご紹介させていただきます。
- 2015年12月 『 武士の娘 』 杉本 鉞子 著 大岩 美代 訳
- 2015年11月 『 人間関係が驚くほどうまくいく 言いたいことがきちんと伝わるレッスン 』 平木 典子 著
- 2015年10月 『 いとしい和の暮らし 手づくりで楽しむにほんの毎日 』 平野 恵理子 著
- 2015年9月 『 和のしきたり 日本の暦と年中行事 』 新谷 尚紀 著
- 2015年8月 『 お部屋も心もすっきりする 持たない暮らし 』 金子 由紀子 著
- 2015年7月 『 日本人はなぜキツネに騙されなくなったのか 』 内山 節 著
- 2015年6月 『 新装版 旅する根付 高円宮妃現代根付コレクション 』 高円宮 久子妃 写真・文
- 2015年5月 『 山川 詳説日本史B 高等学校 地理歴史科用 』
笹山 晴生 佐藤 信 五味 文彦 高杢 利彦 共著 - 2015年4月 『 思うとおりに歩めばいいのよ ターシャ・テューダーの言葉 』
ターシャ・テューダー 著 リチャード・W.ブラウン 写真 飯野 雅子 翻訳 - 2015年3月 『 ちょっと苦いチョコですが…愛と癒しのメッセージ55 』 近藤 裕 著
- 2015年2月 『 地球千年紀行 先住民族の叡智 』 月尾 嘉男 著
- 2015年1月 『 風の良寛 』 中野 孝次 著
『 武士の娘 』 杉本 鉞子 著 大岩 美代 訳
杉本鉞子は、1873年、越後長岡藩の旧家老の家に生れ、武士の娘として厳格に育てられた。結婚によりアメリカに住むようになり、すべてがめずらしく目新しい暮らしの中で「武士の娘」として身につけたものを失うことなく、また自分にとじこもることもなく、みごとに自立した考えを身につける。今日に通じる女性の生き方を見る上にも、当時の風俗や生活のありさまを知るためにも、高い価値をもつ…と内容紹介されている本です。
原作は1925年にアメリカで英語で出版されてベストセラーになりフランス語やドイツ語など7カ国語に翻訳されたそうです。帰国していた著者の家に翻訳者が通って日本語版が誕生しました。
まず言葉の美しさに驚き、読み進むうちに著者の聡明で凛とした生き方に圧倒されました。江戸時代の面影が残る明治の様子もよくわかります。特に、お正月とお盆と部分は当時の人々の優しいこころ遣いが随所に感じられ、しみじみとした気持ちになります。
武士の家に生まれた女性の芯の強さと、たおやかさが、人のありよう、品とは何かを教えてくれる素晴らしい一冊です。
筑摩書房 1994年1月 1,026円
『 人間関係が驚くほどうまくいく 言いたいことがきちんと伝わるレッスン 』
平木 典子 著
「自分の気持ち」を素直に言うことから始めよう。お互いを大切にするハッピー・コミュニケーション、“アサーション”の方法。苦手が自信に変わる46の話し方スキル…と内容紹介されています。
自分も相手もたいせつにするコミュニケーション法・アサーション。その日本の第一人者である平木先生のたくさんの著作の中でも、特にわかりやすく書かれたお薦めの一冊です。
大和出版 2008年6月 1,404円
『 いとしい和の暮らし 手づくりで楽しむにほんの毎日 』 平野 恵理子 著
「いつも当然のように使っているけれど、これってどうやってつくってあるんだろう」
「こんなに何十年も食べ続けているのに、自分で作ったことなかったな」考えてみれば、ちょっと前まではふつうの暮らしの中でみんななんでも自分で作っていたのだった。なにもすべて手作りで暮らしていこうなんて言いたいわけじゃない。ただ日頃親しんでいるものがどんなふうにできているのかな、自分でもできるんだとわかるのも単純にうれしい…
と本文のはじめに書いてありました。
座布団を縫う、浴衣を縫う、水引を結ぶ、炭火をおこす、うどんを打つ、納豆を作る、イカの塩辛を作る、メダカを飼うなど、37の項目があります。イラストもほんわかしていて、見ているだけも何となく楽しいお薦めの一冊です。
ヴィレッジブックス 2005年12月 810円
『 和のしきたり 日本の暦と年中行事 』 新谷 尚紀 著
あなたは「日本のこと」を本当に知っていますか?日本の暦や年中行事は、多彩な四季、とりわけ農事と密接に結びついています。季節の移ろいを敏感に感じとり、四季を愛で、伝統行事を知ることは、豊かで人間らしい生活への第一歩となることでしょう…と内容紹介されています。
民俗学者の新谷先生が監修されておられます。日本のしきたりをテーマにした本が一般向けに、たくさん出版されていますが、その中でも分かりやすさと奥行きの深さで特に惹かれる本です。
月の満ち欠け、旧暦の話や年中行事について、やさしく解説されていますので、お月見の前にお薦めしたい一冊です。
日本文芸社 2007年4月 1,200円
『 お部屋も心もすっきりする 持たない暮らし 』 金子 由紀子 著
いくら片づけてもすぐに散らかってしまう、モノだらけの部屋にストレスを感じている・・・ そんなあなたのために、お金をかけず、すぐにはじめられて、いつの間にか部屋がキレイになる魔法の習慣をお教えします。単なる片づけのハウツーではなく、シンプルライフの提唱者である著者の、すっきり暮らすための知恵をエッセイ風にまとめた本です。 …と内容紹介されている文庫本。
「収納術」や「捨てる」ことに力点を置くのではなく、「モノ自体を減らす」ことを提案。無理なくモノを減らす「7つの習慣」や、実際のモノの処分法、これ以上モノを増やさないためのコツ、モノを持たない生活を楽しく続けるアイデアなどがわかりやすく書かれています。
モノを敵視するのではなく、本当に気に入ったモノを大切にする暮らし。安いから、便利だからと直ぐ手に入れようとするのではなく、何が自分にとって「必要か」「快か」を考え、選択する習慣を身につける。これが「すっきりと暮らす」ためには、重要なことが分かりました。ダイエットとの共通点が挙げられている章を読み、食欲にも物欲にも自分の生き方の姿勢がそのまま反映していることに気づいて、ドキッとしました。
片付けも、ダイエットもリバウンドしがちな私ですが。(^^;
「今度こそ、何とかしよう」と思うようになった一冊です。
アスペクト文庫 2010年12月 617円
『 日本人はなぜキツネに騙されなくなったのか 』 内山 節 著
昔、日本の山村ではキツネにだまされた話がたくさん伝えられていた。それが、1965年以降、ほぼ全国一斉に消えていったという。なぜキツネにだまされる物語が発生しなくなったのか。日本の社会に何が起こっていたのか。その謎ときが、「歴史哲学序説」という副題のもとに展開される。
経済の成長に伴う、自然観の変化、信仰観や死生観の変化、人間観の変化が人々の暮らしを変え、あり方そのものを変えていった様子が浮かび上がります。
「私たちの現在」を考える時、大きなヒントを与えてくれるお薦めの一冊です。
講談社現代新書 2007年11月 778円
『 新装版 旅する根付 高円宮妃現代根付コレクション 』 高円宮久子妃 写真・文
旅先や御所内で撮影された、141点の根付の写真に文章が添えられています。
印籠や煙草入れなどを帯にはさむために誕生した根付は、次第に芸術性を高め、愛される小さな工芸品として発達しました。博物館の展示室で観る根付も素敵ですが、それぞれの持ち味が生きる場所に置かれると、根付のもつ精緻な工芸品としての美しさに加え、遊び心や茶目っ気が一層引き立ちます。途絶えそうになった根付制作の伝統を未来にも繋げようと尽力されておられる久子様の文章も温かく、ページをめくるのが楽しみな写真集です。英対訳付きですので、外国の方に日本文化を紹介する時にもお薦めです。
講談社 2015年4月 2,700円
『 山川 詳説日本史B 高等学校 地理歴史科用 』
笹山晴生 佐藤信 五味文彦 高杢利彦 共著
おなじみの文部科学省検定済教科書。
内容が新しくなり、カラーのページも増えています。
昔、学校で習った歴史が随分変わっていることに驚きました。
手元に置いて、重宝している一冊です。
山川出版社 2013年 教科書を販売している書店で購入すると800円(非課税)
『 思うとおりに歩めばいいのよ ターシャ・テューダーの言葉 』
ターシャ・テューダー 著 リチャード・W.ブラウン 写真 飯野 雅子 翻訳
バーモントの山奥で、ガーデニングと動物とのナチュラルライフを満喫する絵本画家ターシャの、自由な精神あふれる言葉の宝石箱…と内容紹介される本。
アメリカ北東部の大自然の中で、花々を育てながら暮らした絵本作家の飾らない言葉と日常の写真で構成されています。どの言葉も短いものですが、心に響きます。
少し疲れた時、ページをめくるだけで元気になれる大好きな一冊。
現在は絶版になっていますので、図書館や古書店でお探しください。
ターシャの絵本も、他の著書もお薦めです。
メディアファクトリー 2002年10月 1,600円
『 ちょっと苦いチョコですが…愛と癒しのメッセージ55 』 近藤 裕 著
毎日のできごとや、大切な人との関係の中で経験する苦いこと、甘酸っぱいこと。その一つ一つが違った味だからこそ、人生の充実感がふくらむのだ。カウンセリングの臨床から得た「生き方の知恵」を明かす…と紹介されています。
サイコセラピストの近藤先生が豊富な臨床経験をもとに、不安や迷いを、楽しみや喜びに変える知恵をわかりやすく著された本。「幸せなとき、不安なとき、悲しいとき…ページを開けてください」と帯に書かれています。
温かく、やさしく、時に厳しく綴られた心のための読む薬。繰り返し読みたくなる一冊です。残念ながら絶版になっていますので、図書館や古書店でお探しください。
三笠書房 2002年2月 1,200円
『 地球千年紀行 先住民族の叡智 』 月尾 嘉男 著
混迷する現代社会の将来を発見するために、伝統を維持してきた先住民族の文化が見直されている。4年間にわたり放送された番組を文章と写真で紹介…と案内されています。
第1章 環境時代に浮上する先住民族の文化(情報通信がもたらす損失/清潔国家がもたらす損失/進歩史観がもたらす環境問題/動物は人間より自然を熟知 他)と、第2章 先住民族の叡智(共生思想が維持する自然環境(ニュージーランド マオリ)/南海の島々に展開する伝統文化(ミクロネシア諸島の人々)/雲上の湖上で究極の地産地消(ペルー アイマラ)/急峻な高地で保全される生物資源(ペルー ケチュア)等から構成された本。
月尾先生が世界各地の先住民族を訪ね、鋭く冷静な視点と熱い情熱で、伝承されてきた叡智に光をあてておられます。この本がベストセラーになったら、世界が良い方向に変わると思いました。読み応えのある一冊です。
アサヒビール・清水弘文堂書房 2012年4月 1,944円
『 風の良寛 』 中野 孝次 著
「欲なければ一切足り」。厳しい修行と持戒、無一物の暮らしに徹し、なお〈優游〉と生きた良寛。その詩や歌に魅せられ、長い間座右に置いてきた著者が、本当の心の安らぎ、豊かさとは何か――従来の習慣やものにこだわらず人生そのものを楽しむこと、棄てることの大切さを良寛に学び、これからの日本人の生き方を明示した名著…と裏表紙に書かれていました。
「こどもらと 手まりつきつつ この里に 遊ぶ春日は くれずともよし」やさしい歌を詠む良寛さん。良寛さんの情の深さと自分自身に向けた厳しさが印象に残る本でした。自らの欲を払い、澄んだ心で命の根源に身をゆだねて生きようとしたその生涯が和歌や漢詩とともに綴られています。
いつも傍に置いて、読み返みかえしたくなる名著。心を洗濯してくれるお薦めの一冊です。
文藝春秋 2004年1月 628円