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今月の一冊

今月の一冊子どもの頃から本が好きで、暇さえあれば読んできました。
毎月一冊、これまでの読書の中で印象に残った本をご紹介させていただきます。


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『 日本人は死んだらどこへ行くのか 』 鎌田 東二 著

日本人は死んだらどこへ行くのか

お墓のあり方、生まれ変わり、天国、怨霊……。『古事記』から『君の名は。』までを読み解き、新たな「安心」を求める。私たちは死んだらどこへ行くのか――。これは誰もが必ず直面する問いであろう。この問いは、大いなる不安を伴うものであり、ときに絶望ですらあり、さらに深い孤独を感じさせるものでもある。 ほとんどの宗教が「死後」の問題を中心に据えているのも、それゆえだ。たしかに、「死んだらどこへ行くのか」についての固い信念があれば、「安心」を手にすることができるかもしれない。だが、その信念を持つことは現代日本人の多くにとって、そう容易なことではない。現代に生きる日本人として、自分自身にとっての答えを見つけるために、古来、日本人が死についてどのように考えてきたかを知ることから始めよう――。宮沢賢治、遠藤周作、三島由紀夫、柳田國男、折口信夫、新海誠、本居宣長、平田篤胤らの議論から、日本神話、怨霊思想、和歌の生命力、アニミズム的発想、自分史的観点までをふまえつつ、「死」と「日本人」の関係を結び直し、現代の「安心」を求める意欲作―と内容紹介されています。

鎌田先生の『神道用語の基礎知識』を手にしたのが1999年の春でした。以来、西早稲田や神田にあった東京自由大学に通い、講義をお聴きしたり、出版されるご著書を読んできました。本書は、数多い先生の著作の中でも、とりわけ読みやすく、わかりやすく書かれています。

終章には、「まさに宗教を超えた形で、日本人は死んだらどこへ行くのかという問いかけが、新たに始まりだしているのです。もちろん、そこに答えはありません。探究はあっても正解はありません。―略― 一人ひとりが直面する「生き死に」の中で、それらを一つの指標として活用していく。そして自分は何を支えに死ねるのかを考えていく。そうしたことを求めていく時代になっています」とあります。なかなか見つめることができない死について考える力を与えてくれます。手元に置いて、繰り返し読んでいこうと思います。

とても深みがある、お薦めの一冊です。

2017年5月 PHP研究所 929円

『 人類は何を失いつつあるのか 』 山極寿一 対論 関野吉晴

人類は何を失いつつあるのか

サルや類人猿には見られない人間だけの文化や行動、社会の仕組み。人類が進化の過程で獲得した「人間らしさ」とは何なのか?現代社会を視野に現在と未来について語り合う京大総長と「グレートジャーニー」探検家との壮大な対話…と内容紹介されています。

1978年以来、アフリカ各地でのゴリラの野外研究を通じて、初期人類の生活や人類に特有な社会特徴の由来を探っている山極氏。1993年から人類拡散の最長ルートを逆に辿って南米南端からアフリカまで約10年の旅「グレートジャーニー」を完遂。その後も日本列島への人類移動ルートを追って、シベリアやヒマラヤからの陸路の旅と、インドネシアから沖縄までの手作りカヌーの航海などを行う医師である関野氏。そのお二人がNHK教育テレビ「スイッチインタビュー」対談したものを収録し、補完したもの。

話題は多岐にわたり、「家族の起源」から、人間の他者をいたわる共感力や利他的行動、平等意識、教育の現状やグローバリズムなど「人間らしさ」に関わる諸テーマを人類以前のゴリラ社会の視点から山極氏が、伝統社会、先住民社会の視点から関野氏がさまざまに語り合っています。アフリカやアマゾンの風が本から吹いてくるような感じがします。

とても興味深い、読み出すと夢中になるお薦めの一冊です。

2018年3月 東海教育研究所 2916円

『 面倒だから、しよう 』 渡辺 和子 著

面倒だから、しよう

『置かれた場所で咲きなさい』の渡辺和子による最新著書(当時)。

本書のタイトル『面倒だから、しよう』は、著者がノートルダム清心女子大学の教授だった当時からの合言葉で、実際に学生に教えていたものです。

「人は皆、苦労を厭い、面倒なことを避け、自分中心に生きようとする傾向があり、私もその例外ではありません。しかし、人間らしく、よりよく生きるということは、このような自然的傾向と闘うことなのです」 自分を見つめなおし、毎日をあたらしく、ていねいに生きるための一冊…と内容紹介されています。

「価値があるから生きるのではない。生きているから価値がある」、「ふがいない自分を受け入れ、機嫌よく感謝を忘れずに生きる」など、はっとする言葉がたくさんありました。

元気や気づきをたくさん与えてくれる、何度も読み返したくなるお薦めの一冊です。同じ出版社の文庫版もあります。

2013年12月 幻冬舎 1028円

『 まねが育むヒトの心 』 明和 政子 著

まねが育むヒトの心

心はいつ生まれ、どのように育つのでしょうか。サルやチンパンジーとヒトの赤ちゃんの発達をくらべると、ヒトらしい心が成り立ってきた道すじがみえてきます。相手の気持ちをくみとったり、「おせっかい」に関わろうとするのはヒトだけです。それはなぜか。赤ちゃんがみせる「まね」と「共感」をキーワードに、その謎にせまります…と内容紹介されています。

サルやチンパンジーと比較しながら、ヒトの胎児や新生児の発達がわかりやすく解説されています。「まね」をすることで、ヒト特有の心が育まれていく様子や共同で子育てをして生き延びてきた人類の特徴を知ることができました。

「ジュニア」新書ですが、ジュニアに限らず、すべての年齢層の方々にお薦めしたい読み応えのある一冊です。特にお子さんがいらっしゃる方、これから赤ちゃんを育てる方々にはとても参考になると思います。

2012年11月 岩波書店 929円

『 色の名前で読み解く日本史 』 中江 克己 著

色の名前で読み解く日本史

中国大陸や朝鮮半島から伝えられた染色技術を、日本人は独自の感性で消化し、日本という風土の中で日本的ともいえる多様な色彩をつくり出してきた。数多くの伝統色名を取り上げ、それにまつわる歴史的逸話や染材などを紹介…と案内されています。

タイトルから日本史を連想しますが、歴史というよりは日本に伝わる色の名前や由来がわかりやすく書かれています。

「東雲」「浅葱」「木賊」など、聞いたことはあるけれど知らなかった色を最初のカラーページで確認することができます。春夏秋冬の章に分かれて、各色が解説されています。パラパラとめくって読んでも楽しめます。

昔の人たちの色彩感覚の繊細さや、自然と結びついた暮らしの豊かさに感心しました。色と、色につけられた和名の美しさに驚かされる、お薦めの一冊です。

2003年2月 青春出版社 810円

『 祭りのこころ 』 倉林 正次 著

祭りのこころ

祭りは日本人と共に存在し、日本文化の発生と展開の母胎としての役割を果たしてきた。そうした役割や意義は、現代においても変わりはない。社会的意味を考えると、むしろその役割の重要性は増大しているといえよう。本書では、こうした時代認識に立つ著者の祭りに対する考え方を披露した…と内容紹介されています。

年中行事のこころ(明けましておめでとう/寺の正月/なぜ雑煮を祝うのか/昔話と正月/年中行事と暦)と、祭りのこころ(祭りの仕組み/四季の祭りの意味/祭りと人生/コトの文化)について、深く、わかりやすく紹介され、日本文化の根底に触れることができます。

手にして、読み始めた時「もっと早くに出会いたかった」としみじみ思いました。お祭りが好きな方はもちろん、日本について知りたい方に是非お薦めしたい素晴らしい一冊です。

2002年9月 おうふう 1800円+税

『 無名の人生 』 渡辺 京二 著

無名の人生

昔の日本人は幸福に暮らす術を知っていた。人の幸せは、生存の非情な面と裏合わせ。そのなかで「自分で自分の一生の主人であろう」としてきた孤高の思想家が語る珠玉の幸福論…と内容紹介されています。

『逝きし世の面影』で知られる渡辺京二氏が実感をこめて語る幸福論であり、人生論です。少年期を大連で過ごした氏は、引き揚げや結核の長期療養の経験をされ、その後、熊本で組織に属さずに珠玉の作品を一人書き継いでこられました。

分厚い本ではないのですが、ご自身の体験や歴史や文学の深い教養から生まれる言葉に重みがあり、読み応えがありました。読み進むにつれ、心地よい諦めと静かな覚悟のようなものが芽生えて、気持ちが軽くなっていきます。

渡辺先生の読者への優しさが随所に感じられる、若い方にも年配の方にもお薦めの一冊です。

2014年8月 文春新書 842円

『 シンプルに生きる 人生の本物の安らぎを味わう 』
ドミニック・ローホー 著 原 秋子 訳

シンプルに生きる 人生の本物の安らぎを味わう

シンプルな生き方を実践すると、人生は上質なものとなり、揺るぎのない幸福があなたを包みだします。―略― ワードローブひとつとっても、次々と買い求め着ない服に埋もれていてはセンスは磨けません。同様に、時間も、お金も人づきあいも、シンプルな視点でとらえることで、今日から自分の可能性を再発見できるのです。シンプルな生き方を実践すると、人生は上質なものとなり、揺るぎのない幸福があなたを包みだします…と内容紹介されています。

著者の母国のフランスをはじめ世界各国でベストセラーになった本(日本では2010年幻冬舎から発売)が文庫になりました。「身の回りを片付けながら、わたしたちは自分自身の心のなかも整理しているのです」、「欲求と必要の違いを区別できるようにする」など、ドキッとする言葉とともに、シンプルに暮らす方法が具合的に綴られています。

禅も学んだ著者の考え方は、私たち日本人にとってどこか懐かしい感じがします。すべて取り入れることはできなくても、まずできることから実践していこうと思いました。暮らしが変わるお薦めの一冊です。

2016年12月 講談社+α文庫 842円

『 ほどよく距離を置きなさい 』 湯川 久子 著

ほどよく距離を置きなさい

90歳の現役弁護士が見つけた、人にも自分にもやさしくなれる知恵。
人を裁かず、心をほどく。距離があるからやさしくなれる…と帯に書かれていました。

「後ろのものを忘れ、ひたむきに前のものに向かって進め」、「誰かのために流す涙が人の心を育てていく」、「ほどよく忘れた人は幸福度が倍になる」、「今この時を丁寧に味わいつくして生きる」など、どのページにもはっとするような言葉がわかりやすく綴られています。

「人生の知恵」が、いっぱい詰まったお薦めの一冊です。


2017年11月 サンマーク出版 1,300円+税

『 さすらいの仏教語 』 玄侑 宗久 著

さすらいの仏教語

私たちの周りでは仏教由来の言葉が数多く使われている。「阿弥陀クジ」「あまのじゃく」など納得の言葉から、「砂糖」「ゴタゴタ」「微妙」といった意外な言葉、そして「魔羅」「ふしだら」「女郎」なんて言葉まで! 仏教語はどんな「さすらい」の旅を経て、今日の姿へと変貌したのか。はじめは驚き、やがて得心、最後には仏教の教えが心に響く――。禅宗の僧侶にして、芥川賞作家ならではの仏教エッセイ…と内容紹介されています。

何気なく使っている言葉の源が仏教にあったことを知り、まず驚きました。それがかなりの数で、いかに仏教が私たちの暮らしとともに長い間あるかを教えてくれます。

ただの仏教書ではなく、「えっ!そうなの」と驚き楽しみながら読みました。同時にしみじみとしたものも伝わってきました。

著者の作家としての力も発揮された、読みやすくてわかりやすい本。味わい深いお薦めの一冊です。

2014年1月 中公新書 821円

『 東京風俗志〈上〉』 平出 鏗二郎 著

『東京風俗志』〈上〉

明治30年、東京。日清・日露両戦争の狭間にあって、社会の大枠がようやく定まりかけたこの頃、東京の暮らしもまた大きな変遷を遂げていた。江戸の面影を残す街並み・習慣と、新しく定着しつつある洋風の事物があいまって、独特の風俗をかたちづくっていた当時の東京のありようを、体系立てて克明に描いた、貴重な記録。上巻は風土、市政、職業、人情、道徳、教育、宗教と迷信、年中行事、住居と諸道具、舟車など。松本洗耳の精緻な挿絵を全点収録…と内容紹介されています。

髪型・服装、飲食、婚姻・出産・葬祭、歌舞音楽、演劇・相撲・寄席、趣味、子どもの遊び、四季の遊賞などを取り上げた下巻も、同じちくま学芸文庫から出ています。

知っているようで知られていない明治時代。本書は文章や挿絵を通して、その暮らしの様子がよくわかるお薦めの一冊です。

すでに絶版になっていますので、図書館か古書店をご利用ください。なお、明治時代に平出氏が出版した原本は国立国会図書館のウエブサイトでも閲覧可能です。

2000年11月 ちくま学芸文庫 1000円+税

『日本の詩歌 その骨組みと素肌』 大岡 信 著

日本の詩歌 その骨組みと素肌

日本の叙景歌は、偽装された恋歌であったのか。和歌の核心にはいかなる自然観が存在していたのか。和歌と漢詩の本質的な相違とは? 勅撰和歌集の編纂を貫く理念とは? 日本詩歌の流れ、特徴のみならず、日本文化のにおいや感触までをも伝える卓抜な日本文化芸術論。コレージュ・ド・フランスにおける、全五回の講義録…と内容紹介されています。

平明な美しい文章で、詩歌の流れや伝統だけでなく日本の文化全体の特徴が綴られています。

学校で習った詩歌の誕生の背景など、知らなかったことを知ることができるだけでなく、詩歌や詩歌を生んだかつての日本のゆかしい世界にも触れることができるお薦めの一冊です。

2017年11月 岩波文庫 691円