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今月の一冊

今月の一冊子どもの頃から本が好きで、暇さえあれば読んできました。
毎月一冊、これまでの読書の中で印象に残った本をご紹介させていただきます。


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『 なぜヒトだけが老いるのか 』 小林 武彦 著
なぜヒトだけが老いるのか

人間以外の生物は、老いずに死ぬ。ヒトだけが獲得した「長い老後」には重要な意味があった――。生物学で捉えると、「老い」の常識が覆る!…と紹介されています。

ベストセラー『生物はなぜ死ぬのか』の著者、生命の連続性を支えるゲノムの再生(若返り)の研究をされている小林武彦先生の本。下記のような内容で構成されています。

 

 

  • 産卵直後に死ぬサケ、老いずに死ぬゾウ、死ぬまで子が産めるチンパンジー
  • ヒトは人生の40%が「老後」
  • 長寿遺伝子の進化
  • 寿命延長に影響した「おばあちゃん仮説」と「おじいちゃん仮説」
  • 老化するヒトが選択されて生き延びた理由
  • ミツバチとシロアリに学ぶ「シニアの役割」
  • 昆虫化するヒト
  • 不老長寿の最新科学
  • 85歳を超えたら到達できる「老年的超越」というご褒美
  • 老化はどうやって引き起こされるのか    etc.

生物学者が捉えた「老い」が、これまでの漠然とした老いのイメージを覆してくれました。「老い」は「死」とは違い、すべての生き物に共通した絶対的なものではないという指摘がとても新鮮で、目から鱗が落ちた感じです。“「老いの意味」を知ることは「生きる意味」を知ること”という著者が提言する、「最高の老後の迎え方」を目指したいと思いました。

自分の老いを感じたすべての方に、おすすめしたい一冊です。

 2023年6月 講談社現代新書 900円(税別)

『 思いがけず利他 』 中島 岳志 著
思いがけず利他

誰かのためになる瞬間は、いつも偶然に、未来からやってくる。東京工業大学で「利他プロジェクト」を立ち上げ、『利他とは何か』『料理と利他』などで刺激的な議論を展開する筆者、待望の単著! 今、「他者と共にあること」を問うすべての人へ…と紹介されています。

「うさん臭さ」や「押しつけがましさ」、受けて側の「負債感」など、利他という言葉や行為の中に見え隠れするものとは別の、というか本当の利他は、意図せずに「思いがけずにしたこと」が、未来の受け手によって発動した時に生じる。筆者が考える、あくまでも偶然の産物としての利他が説かれています。

巻末に「重要なのは、私たちが偶然を呼び込む器になることです。偶然そのものをコントロールすることはできません。しかし、偶然が宿る器になることは可能です。そしてこの器にやって来るものが「利他」です。器に盛られた不定形の「利他」は、いずれ誰かの手に取られます。その受け手の潜在的な力が引き出されたとき、「利他」は姿を現し、起動し始めます」とありました。

続いて書かれていた「利他的であろうとして、特別なことを行う必要はありません。毎日を精一杯生きることです。私に与えられた時間を丁寧に生き、自分が自分の場所で為すべきことを為す。能力の過信を諫め、自己を超えた力に謙虚になる。その静かな繰り返しが、自分という器を形成し、利他の種を呼び込むことになるのです」という文章が、印象に残りました。
「利他」とは何か、人と人の関係とは何かを考えるきっかけを与えてくれる、おすすめの一冊です。

 2021年10月 ミシマ社 1,760円