辻川牧子のホームページ

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今月の一冊

今月の一冊子どもの頃から本が好きで、暇さえあれば読んできました。
毎月一冊、これまでの読書の中で印象に残った本をご紹介させていただきます。

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2012年の本一覧
『 東京に暮らす1928-1936 』 キャサリン・サムソム 著 大久保美春 訳
東京に暮らす1928-1936

外交官の夫の赴任に伴って来日したイギリス人女性の日本印象記。昭和初期の東京を中心に庶民の姿が温かなまなざしを通して描かれています。当時の様子がよく伝わる、ほのぼのとした挿絵もたくさん載っていました。

冗談が好きでよく笑う人たち、献身的で優しい女性たち、礼儀正しく忍耐強い人たちが登場します。
「日本人の特徴がどのようにして形成され、今後どのように変わっていくかの議論は学者に任せておくとして、一人の普通の外国人の眼には日本人は、生命が危険にさらされるほどの攻撃を受けた場合は別として、いつも穏やかで、親切で、贈り物をすることが好きで、競争心が弱く、自然をとても大切にする国民と映ります。日本人は生きていくために必要な養分を自然から得ているといってもよいでしょう」(p.79)と記されていました。

江戸から明治にかけて日本を訪れた外国人が遺した記録と同様の、陽気で律儀な日本人の姿が随所に見られます。
いつから変わったのか…。今の日本と比べて、考えずにはいられなくなる一冊です。

岩波文庫 青466-1 1994年4月  756円

『 日本の知恵 ヨーロッパの知恵 』 松原 久子 著
日本の知恵 ヨーロッパの知恵

なぜヨーロッパ人は自分に非があっても謝罪しないのか。そこには文化史に根ざした深い原因がある。事実の例証をとおして、日本人の本質を解明し、これからの新しい日本人の、真の国際人としての生き方の方向を示す。…と表紙の内側に書かれていました。

本書は初めドイツ語で出版され、その後日本語で発行されました。
著者の数十年に及ぶ欧米生活と日本文化への深い造詣に裏付けられた力強い作品で、読み応えがあります。

出版は1987年ですが、古さを感じさせない、今の私たちにも大きな気づきを与えてくれる名著だと思います。外交の在り方を考える時にも役立ちます。
古本屋さんや図書館で探してみる価値がある「日本人論」。お勧めできる一冊です。

三笠書房 1987年1月 420円

『 生きることは、自分の物語をつくること 』 小川 洋子・河合 隼雄 著
生きることは、自分の物語をつくること

人々の悩みに寄り添い、個人の物語に耳を澄まし続けた臨床心理学者と静謐でひそやかな小説世界を紡ぎ続ける作家。二人が出会った時、『博士の愛した数式』の主人公たちのように、「魂のルート」が開かれた。子供の力、ホラ話の効能、箱庭のこと、偶然について、原罪と原悲、個人の物語の発見…。それぞれの「物語の魂」が温かく響き合う、奇跡のような河合隼雄の最後の対話。 …と背表紙に書かれていました。

心理学者の河合隼雄先生と『博士の愛した数式』の著者小川洋子氏の対談集。151ページの、ポケットに入るような軽い文庫本ですが、内容はとても豊かです。読んでいましたら、河合先生の笑顔と笑い声が聞こえてくるような、小川氏の微笑みながら頷いている姿が目に浮かぶような感じがしました。

これを持って一人旅に出たくなるような、静かで温かい一冊です。

新潮社 2011年3月 340円

『 ビジュアル・ワイド 江戸時代館 』 竹内 誠 監修
ビジュアル・ワイド 江戸時代館

江戸時代は、250年間余という、世界にも類を見ないほど長い泰平の世がつづいた。こうした日々は、現代社会にも脈々と生き、また同時に、私たちが求めあぐねている日本人の「心」と「形」を醸成した。 歴史に学べ、という。学ぶのは未来のことである。明治維新以降、わが国は西欧的近代化の道をひたすら追い続けてきた。その末の“自家中毒”に呻吟中の今こそ、江戸時代の暮らしや文化を見直して何かを学ぶことは、日本再生の大きなヒントとなろう。 江戸時代人の、失業、リサイクル、教育、老後、危機管理等々への対処法のしたたかな知恵の数々に、興奮し、勇気づけられるはずである。…と出版社が薦める江戸開府400年にあわせて出された、図版数2,700枚に及ぶオールカラーの絵巻。

生活・文化史に重点が置かれ、江戸時代の人々の暮らしぶりが浮かびあがります。 見ていて飽きない656頁、いつも手元に置いておきたい一冊です。

小学館 2002年12月 11,025円

『 大阪船場 おかみの才覚 』 荒木 康代 著
大阪船場 おかみの才覚

かつて、大阪船場の商家では、主人の妻は“ごりょんさん”と呼ばれた。経営に才覚を発揮したり、店員や女中の教育や世話などで大きな役割を果たしたと言われる。『細雪』をはじめ、文学や映画でも憧憬の対象として描かれた“ごりょんさん”とはどのような存在だったのか。現存する日記を通して、その暮らしぶり、商家のしきたりを考察する。…と裏表紙にかかれ、帯には「勝手口から見た商家のくらしむき」とありました。

大阪商工会議所創設者の娘で、杉村商店に嫁いだ杉村久子と言う方が遺した昭和2年の日記が取り上げられ、当時の商家の様子、人づき合いの様子がよく伝ってくる新書です。

それほど昔ではないのですが、人間関係が希薄になっている現代から見ると驚くほど面倒見の良い、人と人の関係が濃厚な世界が映し出されています。

雇う側も働く側も、家族のように繋がっていた日本の商家の姿を垣間見る事ができる興味深い一冊です。

平凡社新書 756円 2011年12月

『 強く生きたいと願う君へ 』 坂本 光司 著
強く生きたいと願う君へ

『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズの著者、坂本先生が40年間現場に通い、6600社の働く人々を見てきて得た「動じない心をつくる15の法則」をまとめておられます。

強く生きるためには、もちろん「力」が必要です。しかし、それは他者を打ち負かす「力」ではありません。世のため人のために役に立つ「力」にほかなりません。そして、本当に強い人は、「勝ち負け」とは関係のない生き方をしています。もっと「高い価値」を人生に求めているからです。だからこそ、地に足のついた確かな足取りで生きていけるのです。 …と帯に書かれていました。

豊富な事例をもとに、わかりやすく自律と利他の精神に根差した生き方が説かれています。社会に出たばかりの方にも、ベテランと呼ばれるような年代になった方にもお薦めできる一冊です。

WAVE出版 1,400円 2012年3月

『 百年前の日本-モースコレクション(写真編) 』 構成:小西四郎+岡 秀行
百年前の日本-モースコレクション(写真編)

明治の初め(1877年に)来日し、大森貝塚を発見したことで知られるモースが遺した写真集です。ページを開くと江戸時代の面影が色濃く残る日本各地の光景が蘇ります。

幕末から明治の初めにかけて撮影された写真集は他にもありますが、私はモースの写真集の中の、子どもたちの写真が特に好きで、この本を手元に置いています。

身なりは質素ですが、心の底からうれしいそうに笑っている当時のこどもたち。見ていると、こちらまで笑顔になってしまう…大好きな一冊です。

小学館 3,990円 初版 1983年11月 普及版 2005年2月

『 文明としての江戸システム 』 鬼頭 宏 著
『文明としての江戸システム』 鬼頭 宏 著

豊かな自然に依存した徳川文明。国際的には近代世界システムと冊封体制に対抗して日本型華夷秩序が形成され、国内は幕藩体制下、各領国が拡大する市場経済により統合されていた。そこに現出した貨幣経済の発達、独自の物産複合、プロト工業化による地方の発展、人口停滞と出生抑制。環境調和的な近世日本のあり方に成熟した脱近代社会のヒントを探る…と裏表紙に書かれています。

日本経済史と歴史人口学がご専門の鬼頭宏先生が「過去をよく知ることこそ現在をよりよく理解することである」という想いで著された本。非常に勉強になる一冊です。

講談社 講談社学術文庫 日本の歴史19 2010年1月 1,200円

『 郷愁の詩人 与謝蕪村 』 萩原 朔太郎 著
郷愁の詩人 与謝蕪村

「与謝蕪村をいち早く認めたのは子規だが、郷愁の詩人として、蕪村の中にみずみずしい浪漫性を見出したのが朔太郎であり、その評価は今もゆるぎない」と表紙にありました。

子どもの頃、学校で習った時から蕪村の句が好きでした。 今でも、春になると思い出すのが…

   菜の花や 月は東に 日は西に
   春風や 堤長ごうして 家遠し
   行く春や 重たき琵琶の 抱きごころ

この本は蕪村を好み、その句を愛誦し続けていた萩原朔太郎が蕪村俳句の本質を紹介しようと著した本だそうです。 以前、素敵な先輩から、さりげなく添えられたメッセージと一緒にいただきました。

四季折々、手にとる大切な一冊です。

岩波書店 岩波文庫緑62-2 1988年11月 483円

『 愛撫・人のこころに触れる力 』 山口 創 著
『愛撫・人のこころに触れる力』 山口創 著

より良い人間関係を育てるコツ…人に愛情をもって触れること、すなわち愛撫は、本人の対人関係の本質をみごとに反映する。うまく行うと自分自身の心に気づきを与え、それを癒す力をもっている。また、人は愛撫されることで大きな安心感や安らぎを得ることができる。不安や孤独感を癒す力さえもっているのだ。夫婦間や恋人どうしの愛撫は言葉以上に愛を伝え、母親の子どもへの愛撫は、人々への基本的信頼感を与える力をもつ。ほんのわずかな愛撫に、どんな素晴らしい言葉よりも大きなパワーがこめられることもある。…と帯にありました。

肌に触れることは心に触れること。愛撫には心を癒し、育む力がある。人生を豊かにしてくれる力が愛撫にあることを身体心理学の観点から伝えてくれます。

ちょっとドキッとするタイトルですが、どなたにも読んでいただきたい一冊です。

日本放送出版協会 NHKブックス 2003年1月 914円

『 江戸の縁起物 』 助六五代目 木村吉隆/聞き書き 藤井恵子/写真 鈴木俊介
江戸の縁起物

江戸の末期より、浅草は仲見世、観音さまの宝蔵門近くで江戸趣味小玩具を商う『助六』。 間口一間の小さな店に並ぶ三千点ほどの小玩具のなかから、約二百点の縁起のいいおもちゃを厳選。愛嬌のあるおもちゃの表情とともに、語り継がれてきた謂われもお楽しみください。…と表紙に書かれています。帯には「江戸からの 豆おもちゃが みなさまに 福を招きます」ともありました。

親に連れられ、赤ん坊の頃から通っている浅草の観音さま。
仲見世の中で一番好きなお店が助六さんです。その助六のご主人が本を出版されたと伺い、すぐに買い求めました。 ページをめくると、かわいい江戸ゆかりのおもちゃがいっぱい。 優しい語り口で、おもちゃの謂れも綴られ、小さなおもちゃの一つ一つに込められた思いの深さや心意気が伝ってきます。

見て楽しい、読んでためになる、うれしい一冊です。
時々眺めて、本に遊んでもらっています。(^^)

亜紀書房 2011年12月 2,415円

『 日本人の叡智 』 磯田 道史 著
日本人の叡智

先達の言葉は海のごとく広く深い。心に刻むべき98人の思索。
先達の言葉にこそ、この国の叡智が詰まっている。仁愛を決断の基本とした小早川隆景、一癖ある者を登用した島津斉彬、時間と進歩の価値を熟知していた秋山真之、教養の正体を見抜いていた内田百けん、学問を支えるのは情緒と説いた岡潔……。約500年にわたる日本の歴史の道程で生み出された九十八人の言葉と生涯に触れながら、すばらしい日本人を発見する幸福を体感できる珠玉の名言集。…と表紙に書かれています。

平明な文章で、名言とその言葉を遺した先人の生き方が凝縮して綴られています。 一人につき、2ページ。とても読み易い本ですが、はっとする箇所がたくさんありました。
気がつけば本に向かって、思わず頭を下げていました。

読んでいると背筋が伸びるような心地がする、先人の叡智に満ちた一冊です。

新潮社 新潮新書 2011年4月 720円